

都庁の仕事
(各局紹介)
都政の羅針盤となる「『未来の東京』戦略」の実現を目指し、都市の基盤となる幹線道路の整備や鉄道連続立体交差事業などを着実に進めていくためには、事業に必要な土地の取得が欠かせません。通常は、事業を行う者(起業者)が土地所有者などの権利者と話し合い、売買契約の締結などにより土地を取得しますが、この当事者間の折衝が難航することもあります。その場合に、第三者機関である収用委員会が行った裁決に基づき、起業者が権利者に対し補償金を支払うことで土地を取得する制度が、「土地収用制度」です。
収用委員会は、土地収用法に基づいて各都道府県に置かれる行政委員会で、法律・経済・行政に関して経験と知識を有する7名の委員により構成されています。起業者と権利者との間に立ち、公正中立な立場から、裁決というかたちで補償金の額や土地の明渡しの期限などを決定しています。
収用委員会事務局では、土地収用法に定める手続を適正かつ迅速に進めるため、起業者・権利者との調整や委員会での議事進行に必要な資料の作成などを行い、収用委員会の円滑な運営を支えています。権利者の財産権の保障にも十分配慮しつつ、収用手続を通し事案の早期解決を図ることで、東京のまちづくりに貢献しています。
CONTENTS
令和7年3月時点
大学で学んだ法律の知識を活かし、人々が安全・安心な生活をすることを支えていきたいと考え、公務員を目指しました。なかでも、大きな仕事もありながら、現場も体験できるという点、制度設計に関わる機会も多いことから、広域自治体に興味がありました。東京都は自身の生まれ育ったまちであることや、多くの人々や企業が過密に集まる東京では、行政課題に対してのハードルも高いと考えられる点にやりがいを感じ、東京都を志望しました。
公共事業に必要な土地は、権利者の合意の下、任意契約により取得するのが原則です。しかし、合意形成が難しい場合には、権利者の意思に関わりなく土地を取得できる制度(=収用制度)があります。収用委員会は、収用事件を公正中立な立場から解決するため、知事から独立して権限を行使する、準司法的な機能(=裁判所に似た機能)を持った行政委員会です。公共事業施行者と権利者との間に立って、公益と私有財産の調整を図り、「裁決」を下すことで収用事件を解決します。収用委員会事務局は、収用委員会の事務を補佐し、円滑な運営を支える役割を担っています。その中で私は、収用事件の申請前の相談受付を担当しています。事件の背景を把握した上で、権利関係や法律的な問題点の論点整理等、事件処理が公正・円滑に進むよう事前調整を行っています。
海外の先進的な事例の収集や知見獲得のため、オランダ・ベルギーへ出張に行ったことです。異動してきて間もない頃だったので、初めて見る日本の土地収用法への理解を深めていくのと並行して、外国の収用法も読み込んでいくのは、かなり大変でした。先方とアポイントメントを取るのも、文化の違いからか一筋縄ではいかず、試行錯誤を繰り返し、ようやく漕ぎつけた時には、この上ない達成感を味わうことができました。現地で訪問した省庁では、都庁職員として行ったからこそお会いできる立場の方から、収用法の改正経緯や改正点等の説明をしていただけたほか、意見交換を行うなど、大変貴重な経験をすることができました。
異動に伴い、様々な分野の仕事を経験できることだと思います。いくつもの部署で多様な経験を積むことで、幅広い視野を養うことができるのと同時に、自身が本当に興味のある分野を明確にしていけると思います。加えて、東京都の取組は他県に先駆けて行われるものも多く、世間的に注目されることも多いので、緊張感もありますが、大きなやりがいを感じることができると思います。人も物も過密に集まる東京都は、多くの行政課題を抱えています。これら課題を解決するための制度設計を、法務面で支えていく職員を目指していきたいと思います。
出勤
メールチェック、スケジュールの確認等
公共事業の施行者から収用手続に関する相談
資料や内容を確認し、権利関係や法律的な問題点などの論点を整理
都内の収用に関するデータの分析
収用事件の申請・処理状況を集計し、様々な角度から傾向を分析
昼食
局内の関連部署とミーティング
裁決に向けて指針や内容を調整
法的課題に対するケーススタディ
全国の先行事例や想定事例を題材に、局内で事例研究会を実施
退勤